幸せはお金で買えないこともない

お金で買えない価値がある

というコピーを使ったCFがあります。
もちろん、このあとにはちゃんとオチがあって、「……買えるモノは○○カードで」となっています。では、幸せはお金で買えるのでしょうか。

2003年に発表された、買い物に関する有名な実験があります。
心理学者のリーフ・ヴァン・ボーヴェンとトマス・ギロヴィチは全国的なアンケート調査を行いました。
自分が幸せになるためにお金を出した品物や体験を書き出してもらい、その買い物をすることで、自分の気分がどれだけ高まったかを答えてもらったのです。

続いて、別の調査を行います。
参加者を2つのグループに分け、一方には最近買った品物を、もう一方には最近購入した体験を書くように指示しました。そして、現在の気分を2つの基準から評価してもらいます。1つは、悪い←→良いの基準で、もう1つは、悲しい←→幸せの基準でした。
果たして、この2つの実験の結果はどうだったのでしょうか。

結果は、いずれの調査でも、品物を買うよりも、体験を買った方が人の気分を良くするというものでした。
いったいなぜなのでしょうか。
『その科学が成功を決める』の著者、リチャード・ワイズマン博士はこのように述べています。

体験に対する人の記憶は時間とともに変わる(飛行機に乗ったときの嫌な思い出は薄れ、砂浜でくつろいだしあわせな瞬間だけが思い出される)
かたや品物は時間とともに汚れたり流行遅れになったりして、その魅力をうしないがちだ

同じ実験への考察として、『幸せを科学する』の著者であえり、ヴァージニア大学で教鞭をとる大石繁宏教授は、次のように述べています。

同じ1万円でも、セーターだったら2、3回着てしまえば、その後は特別何の感情も呼び起こさないが、聞きたかったバンドのコンサートに費やした1万円なら、いつまでたってもその記憶が残っている

そして、次のように述べています。

同じ額を費やすならば、体験的消費のほうが物質的消費よりも幸福感へのいい「投資」となる

収入が低いと、モノの価値が上がる(基準は年収2~300万円)

もちろん、着るもの食べるものにすら困窮している状態では、モノにお金を使わなければなりません。

国際的世論調査会社であるギャロップ社の調査によれば、「年収が2万5000ドル(約250万円)未満の人は、物にお金を使っても経験にお金を使っても、幸福度にさほど変わりはありません」ということです。
その上で、ギャロップ社では次のような結果が出たそうです

年収が2万5000ドル以上の人は、物を買うよりも経験に出費した方が幸福度は2、3倍に高くなる
『幸福の習慣』ディスカヴァー・トゥエンティワンより

また、「年収が多い人ほど、その幸福度は大きく差がつきました」とも述べられています。

どうせお金を使うなら、モノは最低限で良いので、いろいろな体験にお金を使った方がいいのかもしれません。
たしかに、モノを貯めこむ人って、あんまり幸せそうには見えませんものねえ。