集中力を高める気分転換法

アメリカの心理学者で、30年以上にわたって集中力を研究してきたルーシー・ジョー・パラディーノ博士が紹介する気分転換法を紹介します。

「4点呼吸法」で、精神を適度な状態に

彼女は著書『最強の集中術』(エクスナレッジ)で「4点呼吸法」なる気分転換法を提唱しています。
この方法は、興奮し過ぎている状態でも、逆にやる気が出ず、体がなかなか動かないような状態でも効果があるようです。

まずは、身近にある四角いものを探します。著書で挙げられているのは、写真、窓、ドア、本などなので、身近にある四角いものなら何でもいいと考えて問題ないでしょう。それから、次の要領で深呼吸します。

  1. 左上の角を見つめながら、息を吸いこむ(4秒間)
  2. 右上の角に視線を移し、息を止める(4秒間)
  3. 右下の角に視線を移し、息を吐く(4秒間)
  4. 左下の角に視線を移し、心のなかでささやく。「リラックス、リラックス、スマイル」
    ※1~4を何回も繰り返す

まとめると、四角いものの角から角に、4秒ごとに視線を移し、そのたびに、呼吸をするという感じでしょうか。呼吸を遅くすれば、よりリラックスし、早めれば、より興奮度・緊張度が増すので、これから取り組む作業に合わせて、秒数を変更してもいいかもしれません。

アドレナリン・スコアという指標

これをいつまで続けるかについて、本書ではアドレナリン・スコアという考え方を提示しています。アドレナリン・スコアとは、興奮度のようなもので、「完全にリラックスした状態」を0(ゼロ)とし、「極めて興奮し、緊張した状態」を10として、現時点の自分の心境が数値にしてどのくらいのところにいるのかを示す数値です。

「極めて興奮し、緊張した状態」とは、たとえば、人前でスピーチをする、試験を受ける、他人と対立するといった状況で陥る状態だと考えられます。一方、「完全にリラックスした状態」とは、報告書を作成するとか、確定申告の準備をするとか、あまりやりがいを感じられないような事務作業を目の前にした時の状態です。意欲を喪失した状態とも言えます。

この状態のからもわかるように、人間は、リラックスし切っていても集中できませんし、興奮し過ぎていても、集中できません。どのようなことに取り組むのであれ、やはり人間は適度に興奮し、適度にリラックスしていなければならないのです。

作業内容によって、最適なアドレナリン・スコアは変わってくるため、アドレナリン・スコアが高すぎる場合は、少なくとも目盛りが1つ分下がるまで、低すぎる場合は、スコアが目盛り1つ分上がるまで、「4点集中法」を続けるべきと、パラディーノ博士は進めています。

スポーツなら、7~8になる場合もあるでしょうし、勉強や読書ならば、3程度の人もいるでしょう。どの段階であれ、「4点集中法」を用いれば、必要とされるアドレナリン・スコアに近づけることができるそうです。

自分にとって最適な状態とは

ところで、自分にとって最適な状態はどのような状態なのでしょうか。
パラディーノ博士は、次のように呼びかけています。

自分が本当に好きなことをしているところを、思い浮かべてみよう――夢中で小説を読みふける、自然の中を散策する、知らない場所に旅行に出かけるなど。そんなときあなたは、クリアな意識で目の前のことに没頭しているはずだ。実際、私たちは最適覚醒状態にあるとき、何の苦もなくものごとに集中できる。

何となく、自分の最適覚醒状態を想像できるのではないでしょうか。

「4点呼吸法」に取り組む前に、目をつむって、大好きなことに取り組んでいることを想像して、自分の最適覚醒状態を確認するのもひとつの方法かもしれません。自然の中や、自分の好きなことにアクセスすることは、マインドフルネスなどでも推奨されています。

最適な覚醒状態で作業に取り組みたい方は、活用してみてはいかがでしょうか。