幸せになるために、やってはならないこと

ヴァージニア大学心理学部の大石繁宏教授が書いた『幸せを科学する』(新曜社)で、1997年に発表されたリュボマースキー博士らによる心理学実験が紹介されています。

実験は次のように行われました。
被験者とサクラに対して、知能テストのようなものが配られます。第1群のサクラには、すらすらとテストを解答していく素振りを見せるよう指示してあり、第2群のサクラは、テストの解答にもたつき、詰まっている様子を見せるよう指示してあります。
このような条件で、被験者がどのように反応するのかを測定しました。

すると、面白いことが分かりました。
被験者のうち、幸福感が高い人は、第1群であれ、第2群であれ、「自分なりにうまく課題を解けた」という自己評価を下します。一方、幸福感の低い人は、第1群において、つまり、サクラがすらすらと解答している状況で、「自分はうまく課題を解決できなかった」という自己評価を下したのです。
この実験結果から、大石教授は次のように結論づけています。

つまり、幸福感の低い人は、自分と他人を比較しながら自己評価を下す傾向が強いのだ

『幸せを科学する』 より)

幸福感の高い人は、競争相手(この実験の場合はサクラ)が課題を上手に解決していようが、課題に行き詰まっていようが、自己評価に変化はありませんでした。これは言い方を変えれば、幸福感の高い人は「他人と比較して自己評価を変えることはしない」という思考習慣を持っているということになります。
ですから、他人と比較して自己評価を変えるようなことをしなければ、幸福感が高くなるかもしれません。

むろん、必ずしも逆もまた真なりとは限りませんので、断言はできませんが、多少なりとも幸福の方向へと近づけそうな気がします。大石教授は次のように述べています。

他の誰かと自分を常に比較する人も多いが、幸福感という意味では、他人との比較をしない人のほうが幸福感が高いようだ。特に、他人と比較して自分が劣っている領域でいつも社会的比較をするのは、精神衛生上あまり好ましいとは言い難い。

(前掲書)

幸福感を味わいたければ、他人との比較はなるべく避けた方が良いと言えそうですね。