30年後の未来は、卒アルの〇〇でわかる?!

ポジティブ心理学の創設者であり、アメリカ心理学会会長も務めたマーティン・セリグマン博士は、著書『世界でひとつだけの幸せ』(アスペクト)で、ある研究を紹介しています。

それはカリフォルニア大学バークレー校の研究でした。
彼らは、1960年、ミルズ大学の卒業アルバムに掲載された141人を追跡調査します。ミルズ大学は女子大ですから、この141人はすべて女性です。彼女たちは、それぞれ27歳、43歳、52歳の時点で、結婚と生活に関する満足度調査を受けました。

のちに、この追跡調査は、ダッハー・ケルトナーとリーアン・ハーカーに引き継がれます。 ケルトナーとハーカーは、調査を引き受けてから、大学を卒業してからの30年間がどうだったのか、どのような生活を送っていたのかについて、まずは、1960年に撮影された卒業アルバムから推測しようと試みました。すると、この予測は見事に的中したのです。
彼らは、彼女たちのうち、心身ともに健康で、結婚生活もうまくいっている人たちを当てました。

いったい、卒アル写真のどこにヒントがあったのでしょうか。

幸せのヒントとは?

ヒントとなったのは、彼女たちの表情でした。
ミルズ大学の1960年度卒業生は、3人をのぞく全員が「笑顔」で 卒業アルバムに写っていました。そして、笑顔を浮かべる女性たちのうち、約半分が「本物の笑顔」だったそうです。

賢明な方はもうお分かりかと思いますが、カリフォルニア大学バークレー校のケルトナーとハーカーは、卒業生たちの表情から、その後の人生を予測し、的中させたのです。
つまり、「本物の笑顔」だった女性たちのほとんどが結婚していて、その結婚生活も長続きしており、卒業後の30年間、心身ともに健康でした。

ところで、「本物の笑顔」とは、どのようなものなのでしょうか。セリグマン博士は次のように述べています。

笑いには本物の笑いと作り笑いの二通りあり、本物の笑いは、発見者のギューム・デュシーヌにちなんで、「デュシーヌ・スマイル」と呼ばれている


(『世界でひとつだけの幸せ』 より)

訓練を積んだ心理学者なら、一目でデュシーヌ・スマイルとそうでないものとに区別することができる

(前掲書)

ギューム・デュシーヌとは、19世紀のフランス人心理学者ギョーム・デュシエンヌのことで、「デュシエンヌ・スマイル」という方が一般的です。
デュシエンヌは、顔面神経に電流を流して「微笑み」を作る実験をしました。その結果、生理的笑いでは、眼窩の周りにある眼輪筋の収縮が見られ、作り笑いでは反応がないことを発見したのです。

なお、デュシエンヌ・スマイルではなかった卒業生たちの人生について、本書では触れていませんが、まあ、それほど芳しいものではなかったのでしょう。

心から笑っていれば、ずっと幸せ

ここで、もしかしたら、疑問がわく人もいるかもしれません。笑顔だけが幸福の要因ではないかもしれないという疑念です。
たとえば、実は笑顔のせいではなく、笑顔だった人たちがたまたま綺麗な人たちだったのではないか。綺麗な人なら、幸せな結婚生活を送る可能性が高まるかもしれません。

ケルトナーとハーカーもその点を疑い、確認しましたが、卒業生たちの容貌の評価と、結婚や生活に対する満足度とは、まったく関係がなかったそうです。
セリグマンはこう結論づけています。

つまり、心から笑っている女性は、結婚に満足し幸せだということになる。
一枚の写真に撮りだされたほんの一瞬のポジティブな感情から、その後の人生を正確に予測できるというのは、驚くべきことである。

(前掲書)

心から笑っている人は、その瞬間は幸せなはずです。しかし、この研究からは、その瞬間ばかりでなく、未来にわたって幸福であり続ける可能性があるのです。

あなたは、いま、この瞬間、心の底から笑っていますか?